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巡回指導とは
巡回指導は一般貨物自動車運送事業の許可に係る運輸開始届から2~3か月後に初回が、その後およそ2年に1回のペースで、各都道府県のトラック協会の職員の方が2人一組で訪問します。
そして運送業の帳簿類は揃っているか?記載は適切か?各種届出は提出されているか?などがチェックされます。
よく質問されるのですが、この巡回指導と監査は別物です。似ていますが、異なるものです。
巡回指導は、トラック協会が行います。厳密に言えばトラック協会の中の「貨物自動車運送適正化実施機関」という部署の職員の方が実施します。実は「貨物自動車運送適正化実施機関」 は、国土交通省から指定されている組織であるため、国交省に代わって巡回指導を実施しているのです。
対して監査は、国土交通省の各地方運輸局と各運輸支局が連携して実施されます。貨物事業者においては一般監査と特別監査がありますが、一般監査においてもチェックされる帳簿の数、範囲など、巡回指導よりもかなり厳しく行われます。
巡回指導におけるチェック項目
巡回指導でチェックされる項目は38項目となっています。
Ⅰ .事業計画等
- 主たる事務所及び営業所の位置、名称に変更はないか?
- 営業所に配置する事業用自動車の数に変更はないか?
- 車庫の位置及び収容能力に変更はないか?
- 乗務員の休憩・睡眠施設の位置、収容能力に変更はないか?
- 乗務員の休憩・睡眠施設の保守管理は適正にされているか?
- 届出事項(役員等)に変更はないか?
Ⅱ.事故記録、自動車事故報告書、運転者台帳、事業実績及び事業報告書等
- 事故記録が適正に記録され、保存されているか?
- 自動車事故報告書を提出しているか?
- 運転者台帳が適正に記入等され、保存されているか?
- 車両台帳が整備され、適正に記入等がされているか?
- 事業実績報告書・事業報告書を報告しているか?
Ⅲ.運行管理等
- 必要な員数の運転者を確保しているか?
- 運行管理者が選任され、選任(変更)届出書を届出しているか?
- 補助者の選任とその業務は適正か?
- 運行管理者に研修を受けさせているか?
- 運行管理規程が定められているか?
- 過労防止を配慮した勤務時間、乗務時間を定め、休憩時間、休息期間を適正に管理しているか?
- 点呼の実施及び記録保存は適正か?
- 乗務等の記録(運転日報)の作成・保存は適正か?
- 運行記録計による記録及びその保存・活用は適正か?
- 運行指示書の作成・携行及び記録保存は適正か?
- 乗務員に安全教育を実施して記録を保存しているか?
- 特定の運転者に対して適性診断を受診させているか?
- .特定の運転者に対して特別な指導を実施しているか?
Ⅳ.整備管理等
- 整備管理者が選任され届出されているか?
- 整備管理者に所定の研修を受講させているか?
- 整備管理規程が定められているか?
- 日常点検基準を作成し、これに基づき点検を適正に行っているか?
Ⅴ.労務関係等
- 就業規則が制定され、届出されているか?
- 36協定[サブロクキョウテイ]が締結され、届出されているか?
- 所要の健康診断を実施し、健康状態を把握しるか?
- 労災保険・雇用保険に加入しているか?
- 健康保険・厚生年金保険に加入しているか?
Ⅵ.運輸安全マネジメント
- 輸送の安全に関する基本的な方針を定めているか?
- 輸送の安全に関する具体的な目標を定めているか?
- 輸送の安全に関する計画を作成しているか?
- 運輸安全マネジメントの取り組みを公表しているか?
巡回指導でチェックされる帳簿類
- 経営許可申請書、認可書、事業計画変更認可申請書等
- 事業概要報告書、登記簿謄本、役員変更届
- 事故記録簿、自動車事故報告書
- 運転者台帳
- 車両台帳、自動車検査証(車検証)の写し
- 事業報告書(控)、事業実績報告書(控)
- 運行管理者選任(変更)届出書、運行管理者資格者証、運行管理者講習手帳、基礎講習修了証
- 運行管理規程
- 運転日報、運行記録計(タコメーター)による記録紙、出勤簿
- 点呼記録簿
- 乗務等の記録(運転日報のこと)
- 運行指示書
- (運転者への)教育実施記録簿、教育実施計画、適性診断受診票
- 運転記録証明書、特定運転者教育記録等
- 整備管理者選任(解任)届出書、整備管理者研修修了証、整備管理者研修手帳等
- 整備管理規程等規定類、日常点検表、日常点検基準
- 定期点検基準、定期点検整備実施計画表、点検整備記録簿
- 就業規則
- 健康診断受診一覧、運転者台帳(健康診断受診日記載済み)等
- 労災保険加入台帳、雇用保険加入台帳、健康保険加入台帳、厚生年金保険加入台帳、賃金台帳
巡回指導の結果
巡回指導の後、結果がA~Eの五段階で評価されます。(Aが一番良く、Eが一番悪い)
チェック項目が38項目ある中で…
・90%以上適正 → A (9割=35項目) NG3個まで |
・80%~90%未満 → B (8割=31項目) NG7個まで |
・70%~80%未満 → C (7割=27項目) NG11個まで |
・60%~70%未満 → D (6割=23項目) NG15個まで |
・60%未満 → E NGが16個以上(OKが22個以下) |
★重要項目と指定されているものが1個でもNGだと1ランク下がります。(BがCになるなど)
★E判定は要注意!
・3カ月間は認可申請が出来なくなります。
・1年間は増車が認可事項となり、届出ではなくなります。
・適正化実施機関から運輸支局へ通報され、監査となってしまう場合もあります。
巡回指導の後にすべきこと
巡回指導の後、適切でない項目については指摘されます。具体的には適正化実施機関(現在は各トラック協会)より、改善事項を記した書類が送られます。
この改善項目は指定された日付までに(だいたい2カ月以内)に改善報告を提出しなければなりません。この改善報告が提出されない場合や提出されても不備が多い場合は、再度の巡回指導や監査につながる場合もあります。
巡回指導の対策、書類リカバリーならお任せ下さい
「巡回指導の通知が来たけど、どうしたらいいの?」というご相談をよく頂きます。特に一般貨物許可後の初回指導の方が多いです。
幣所では「これから巡回指導がくる」という方のためのご相談や対策を承っております。
また、「巡回指導で改善項目として指摘された書類の作成、提出」も承っております。
巡回指導のチェック38項目のうち、特に点呼記録簿や日報の記録漏れや、事業報告書・事業実績報告書・運賃料金の未提出などが多く見受けられます。
巡回指導の対策、リカバリーなどのご相談はお気軽にどうぞ。
巡回指導の対策、相談の報酬
(円/全て税込)
手続内容 | 報酬額 | 印紙・証紙 ・登録免許税等 |
初回電話相談(30分程度) | 0 | |
巡回指導の相談(訪問、最大2時間程度) | 27,500 | 交通費別途 |
巡回指導の対策(訪問、最大4時間程度。帳票類データ提供、簡易な書類チェック、記載指導) | 55,000 | 交通費別途 |
その他巡回指導の対策支援、同席など | 別途御見積 | 交通費別途 |
巡回指導後の帳簿リカバリーや届出作成及び提出(事業報告書、事業実績報告書などの各種届出) | 別途報酬表参照 | 交通費別途 |