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そもそも緑ナンバーが必要な場合とは?

緑ナンバーは貨物自動車運送事業法でいう「一般貨物自動車運送事業」といい、他人の需要に応じ、有償で自動車を使用して貨物を運送する事業と規定されています。
つまり他社の荷物を運賃を貰って運ぶ場合、緑ナンバーをつけなければいけません。

(同じ緑ナンバーですが、人を運ぶ場合は旅客という別の許可になります)
(黒ナンバーは軽自動車で行う貨物運送であり、緑ナンバーとは異なる手続き(届出)です。)

一般貨物自動車運送事業(緑ナンバー)を始めるには

緑一般貨物自動車運送事業(緑ナンバー)を始めるには 、国土交通大臣の許可を受けなければなりません。
許可の取得には要件があり、九州運輸局の公示では次の項目について、特に要件の充足に重点を置いて審査するとされています。

営業所

  1. 建築基準法、都市計画法、消防法、農地法等関係法令に抵触しないものであること。
  2. 適切な規模を有するものであること。
  3. 使用権原を有することの裏付けがあること。
  4. 必要な備品を備えているなど、事業遂行上適切なものであること。

最低車両台数

  1. 営業所ごとに、配置する事業用自動車の数は種別(貨物自動車運送事業法施行規則(以下「施行規則」という。)第2条で定める種別)ごとに5両以上とすること。
  2. 計画する事業用自動車(以下「計画車両」という。)にけん引車、被けん引車を含む場合の最低車両台数の算定方法は、けん引車と被けん引車の各1両を合わせて1両とする。
  3. 霊柩運送、一般廃棄物運送、一般的に需要の少ないと認められる島しょ(他の地域と橋梁による連絡が不可能なもの。) の地域において経営しようとする事業であって、①の車両数によることが適当でないと認められるものについては、これによらないことができる。

事業用自動車

  1. 計画車両の大きさ、構造等が輸送する貨物に対し適切なものであること。
  2. 使用権原を有するものであること。

車庫

  1. 原則として、営業所に併設されるものであること。ただし、併設されることが困難な場合においては、営業所から直線で5キロメートル(政令指定都市にあっては10キロメートル) 以内であること。
  2. 建築基準法、都市計画法、消防法、農地法等関係法令に抵触しないものであること。
  3. 出入口の前面道路については、原則として幅員証明書により車両制限令に適合すること。
  4. 車両と車庫の境界及び車両相互間の間隔が50センチメートル以上確保され、かつ、計画車両数すべてを収容できるものであること。
  5. 使用権原を有することの裏付けがあること。
  6. 用地は、車庫以外の部分と明確に区画されていること。

休憩・睡眠施設

  1. 原則として、営業所又は車庫に併設されるものであること。
  2. 乗務員が有効に利用することができる適切な施設であり、乗務員に睡眠を与える必要がある場合には、少なくとも同時睡眠者一人当たり2.5㎡以上の広さを有するものであること。
  3. 使用権原を有するものであること。
  4. 建築基準法、都市計画法、消防法、農地法等関係法令に抵触しないものであること。

運行管理体制

  1. 車両数及びその他の事業計画に応じた適切な員数の運転者を常に確保し得るものであること。この場合、運転者が貨物自動車輸送安全規則第3条第2項に違反する者でないこと。
  2. 選任を義務付けられる員数の常勤の運行管理者を確保する管理計画があること。
  3. 勤務割及び乗務割が平成13年8月20日国土交通省告示第1365号に適合るものであること。
  4. 運行管理の担当役員等運行管理者に関する指揮命令系統が明確であること。
  5. 車庫が営業所に併設できない場合には、車庫と営業所が常時密接な連絡をとれる体制を整備するとともに、点呼等が確実に実施される体制が確立されていること。
  6. 事故防止についての教育及び指導体制を整え、かつ、事故の処理及び自動車事故報告規則に基づく報告の体制について整備されていること。
  7. 積載危険物等の運送を行うものにあっては、消防法等関係法令に定める取扱資格者が確保されていること。

点検及び整備管理体制

  1. 選任を義務づけられる員数の常勤の整備管理者を確保する管理計画があること。ただし、一定の要件を満たすグループ企業(会社法(平成17年法律第86号)第2条第3号及び第4号に定める子会社及び親会社の関係にある企業及び同一の親会社を持つ子会社をいう。)に整備管理者を外部委託する場合は、事業用自動車の運行の可否の決定等点検及び整備管理に関する業務が確実に実施される体制が確立されていること。
  2. 点検及び整備管理の担当役員等点検及び整備管理に関する指揮命令系統が明確であること。

資金計画

  1. 所要資金の見積りが適切なものであること。
  2. 所要資金の調達に十分な裏付けがあること、自己資金が所要資金に相当する金額以上であること等資金計画が適切であること。
  3. 自己資金が、申請日以降許可日までの間、常時確保されていること。

法令遵守

  1. 申請者又はその法人の役員は、貨物自動車運送事業の遂行に必要な法令知識を有し、かつ、その法令を遵守すること。
  2. 健康保険法(大正11年法律第70号)、厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)、労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)、雇用保険法(昭和49年法律第116号)に基づく社会保険及び労働保険(以下「社会保険等」という。)の加入義務者が社会保険等に加入すること。
  3. 申請者又は申請者が法人である場合にあっては、その法人の業務を執行する役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)が、貨物自動車運送事業法又は道路運送法の違反により、申請日前6ヶ月間(悪質な違反については1年間)又は申請日以降に、自動車その他の輸送施設の使用停止以上の処分又は使用制限(禁止)の処分を受けた者(当該処分を受けた者が法人である場合における処分を受けた法人の処分を受ける原因となった事項が発生した当時現にその法人の業務を執行する役員として在任した者を含む。)ではないこと。
  4. 新規許可事業者に対しては、許可書交付時等に指導講習を実施するとともに、運輸開始の届出後1ヶ月以降3ヶ月以内に地方貨物自動車運送適正化事業実施機関の適正化事業指導員が実施する巡回指導によっても、改善が見込まれない場合には、運輸支局による監査等を実施するものとする。

損害賠償能力

  1. 自動車損害賠償責任保険又は自動車損害賠償責任共済に加入する計画のほか、一般自動車保険(任意保険)の締結等十分な損害賠償能力を有するものであること。
  2. 積載危険物等を取り扱う運送の場合は①のほか、当該輸送に対応する適切な保険に加入する計画等十分な損害賠償能力を有するものであること。

許可に付す条件

  1. (2)③に該当する事業については、車両数について特例を認めることとし、許可に際して業務の範囲等を限定する旨の条件を付すこととする。
  2. 許可後1年以内に運輸を開始する旨の条件を付すこととする。
  3. 運行管理者及び整備管理者の選任届を運輸開始前(整備管理者の選任届については、選任後15日以内に運輸開始する場合にあっては、選任後15日以内)に提出する旨の条件を付することとする。
  4. 運輸開始前に社会保険等加入義務者が社会保険等に加入する旨の条件を付すこととする。
  5. 特定の荷主を対象とする事業については、荷主が特定単数であれば特定貨物自動車運送事業の許可申請を、荷主が特定複数であれば一般貨物自動車運送事業の許可申請を指導することとし、荷主を限定する旨の条件を付することはしないこととする。

欠格事由

施行規則第3条の2第1項第3号、第2項第3号及び第3項第3号に規定する者には、申請者の役員に占めるその役員の割合が2分の1を超える者や、申請者の株主と株主の構成が類似している者等が該当するものとする。

役員法令試験

法令遵守事項の規定により、法令試験を実施している。
法令試験は、隔月で実施(申請月の翌月以降の奇数月)。
法令試験を実施した結果、合格基準に達しない場合は、翌々月に1回に限り再度の法令試験を受験できる。
再試験において合格点に達しない場合は、却下処分とする。

  • 貨物自動車運送事業の遂行に必要な法令知識として13の法令から出題。
  • 出題数30問
  • 合格基準は出題数の8割以上
  • 試験時間50分

許可取得までどれくらいかかる?

九州運輸局では、申請から「3~5ヶ月」が標準処理期間となっています。

許可取得だけでは緑ナンバーで走れない!その後の手続き

許可取得から緑ナンバーをつけるまで

ちなみに一般貨物自動車運送事業においては、許可取得だけでは緑ナンバーはもらえません。
許可取得後には、下記の手続きが必要です。(上記、 許可に付す条件にも記載の通りです)

  1. 選任届(運行管理者、整備管理者)
  2. 労働保険、および社会保険の加入
  3. 運輸開始前報告
  4. 事業用自動車連絡書発行
  5. 車検証の書き換え(ナンバーを変更するなら、ナンバー変更手続き)
  6. 運輸開始届
  7. 運賃料金設定届

無事、緑ナンバーを付けたその後

無事に一般貨物自動車運送事業の許可を取得し、緑ナンバーをつけてお仕事を始めたその後は、「輸送の安全」を守り適性な運送事業を継続するため、色々な報告や届出を行わなくてはなりません。

  • 運輸開始したのち、適正化事業実施機関(現在は各都道府県のトラック協会)による「巡回指導」が入ります。
    陸運局の監査とは異なりますが、この巡回指導の成績が悪ければ監査に繋がる場合もあります。
    巡回指導では、運送業に関する帳簿類が揃っているか、その記載が実態に沿った適正なものかを中心に確認され、指導されます。
  • 年に一度、事業報告書と事業実績報告書の届出。
  • 運転手さんに対する教育や指導。具体的には適性診断や健康診断、安全教育などを行い、記録・保存しなくてはなりません。
  • 事業で使う自動車の定期点検(緑ナンバーは3カ月ごと)

など、数多くの書類の作成・保管義務があります。

一般貨物自動車運送事業(緑ナンバー)の許可申請などの手続きまとめ

一般貨物自動車運送事業(緑ナンバー)の許可申請は難しい。許可後を見据えた動きをお勧めします。

以上のように、 一般貨物自動車運送事業(緑ナンバー) の許可取得やその後の手続きは、法律の要件項目の数が多く、また関係窓口が多岐にわたるなど、複雑なものになっています。許可が出るための標準処理期間が 「3~5ヶ月」となっているのはその表れでしょう。ご自身で申請される場合は余裕をもって申請されることをお勧め致します。

また、緑ナンバーで走り出すためには一般貨物自動車運送事業の許可取得だけではなく、その後の手続きも見据えて行う必要があります。数多くの帳簿を準備し、継続して記載、定期的に報告しなければならないものもあります。
その帳簿の説明は許可証交付式の講習会で実施されますが、よくよく聞いておく必要があります。

一般貨物自動車運送事業(緑ナンバー) の許可取得その他の手続き代行、ご相談ください。

事業をされている方、特に緑ナンバーをとろうという方は新規事業として、また独立することを控えていることと思います。とてつもなくご多忙と思います。でも相談する相手がいない…。そんな声もよく伺います。そんな時は、一度私たちにご相談いただければと思います。
陸運支局への登録申請から料金届出までの手続きをワンストップ代行いたします。(事業報告書、実績報告書は都度ご依頼ください。)
お客様のご希望、予算、状況を伺わせて頂き、適切なサポート内容をご提案致します。

また、他の先生に許可取得までやってもらったけどその後の手続きを依頼したい、この手続きだけお願いしたい、などのご要望にもお客様に合ったご提案をさせて頂きます。まずはお気軽にご相談ください。

手続内容  報酬額  印紙・証紙
・登録免許税等
一般貨物経営許可申請(トラック 緑ナンバー取得)
※お客様のご依頼業務によりサービス内容が変わります。お問合せください。
※出張封印は別途料金となります。
440,000~
(ご依頼内容で変動します)
120,000
一般貨物経営許可申請(霊柩 緑ナンバー取得)
※お客様のご依頼業務によりサービス内容が変わります。お問合わせください。
※出張封印は別途料金となります。
295,000~
(ご依頼内容で変動します)
120,000
利用運送追加55,000~
増車・減車届出書作成 
※トラックの移転・変更登録費用は含まれません
16,500~
営業所新設(車庫1か所・休憩施設1か所あり)264,000~
営業所増設(1か所、車庫なし)132,000~
車庫移設・増設(1か所、休憩施設なし) 132,000~
事業実績報告書(1期分) 16,500~
事業報告書(1期分) 33,000~
運行管理者・整備管理者選任届(1名ずつ)22,000
運賃料金設定(変更)届出書33,000